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PHOTO BY JIMMY FONTAINE


Panic! At The Disco

パニック!アット・ザ・ディスコ来日公演レヴュー
Live at ZEPP TOKYO, OCTOBER 22 2018
REPORT:YUKO KATO

想像を絶するファルセットのヴォーカル、100分たっぷり魅せてくれる!!
世界を酔わせるライヴは、ここまで凄かった


ブレンドン・ユーリーたったひとりになったパニック!アット・ザ・ディスコ(以下P!ATD)が、やっと!やっと!来日してくれた。海外ではO2とか有名なアリーナでしかやらないだけに、2〜3000人規模のヴェニューで観られる日本は、とってもお得。とは言え、前作「ある独身男の死」('16)、そして今年6月に出した6枚目のアルバム「プレイ・フォー・ザ・ウィキッド」と、2枚連続で米ビルボードの総合チャート1位を達成しただけに、日本も次は武道館かしら?
さて、そんな大物になっちまったブレンドン、今回も当初取材はやらないつもりだったらしいが、来日直前、2本だったらやってもいい、と言ってくれて、来日公演初日(10月22日)、ゼップ東京の楽屋でインタビューすることに。わざわざ名古屋から来てもらうのもなんだから、電話インタビューでもいいよ、と言ってくれたけど、それじゃライヴが観られないもの…!
予定通り16時頃会場入りしたブレンドン。30分頃から取材を始めてくれた。部屋に入るなり、“うぉーっ!”と叫び声をあげてハグしてくれたブレンドン。“久しぶり〜、元気だったー?”と、親しげに声をかけてくれる。そうなのだ、P!ATDとの付き合いは彼らがデビューした'05年以来になる。
“ねぇ、君がラスヴェガス郊外のキャビンに来た時のことを覚えてる?”って忘れるわけないじゃないか!ひとりでカメラバッグをカラカラ引いて、彼らが2枚目のアルバム「プリティ。オッド。」('08)をレコーディングしていた別荘を訪れたことがあったのだ。ブレンドンはとにかく優しくて、こんなにいい人って他にいるんだろうか?と思ったくらい。もっとも、アメリカのレーベル関係者によると、前作で大ヒットを飛ばし、大成功を収めた彼は、さらにいい人になったそうだ…どんだけ〜?
“あのキャビンに来たのは、後にも先にも、世界中で君ひとりだったんだよ”と言うブレンドンに、ちょっと嬉しい私。10年くらい前のことなのに、憶えてくれてたなんてね。(そう言えば、コアラのマーチの大袋をとっても喜んでたなぁ…)あの頃のP!ATDのショーにはサーカス団が同行していて、彼らの世界観を表現するために、ライヴの最中、ステージの上で、パフォーマンスを演じていたっけ。私はブレンドンとライアン・ロスのアイディアがP!ATDの芸術性を形成していると思ってたけど、ライアンが辞めた後もどんどんクリエイティヴになっていくP!ATDを見ていると、ブレンドンって本当に凄いクリエイターなんだと思うようになっていた。それをまさに見せつけてくれたのが、ゼップ東京でのライヴだった。新曲「(ファック・ア)シルヴァー・ライニング」で幕を開けたショーで、ブレンドンは始めから全力ダッシュだ。
“僕のライヴは始めら最後まで、凄くエネルギッシュなんだよ”。そう楽しそうに言ってた通り、踊る!踊る!それがまた上手くて、セクシーで。体全体を使った動きだけど、腰のフリフリがとっても素敵で。このテンションが4、5曲続いて感心してしまう。ヴォーカルも、アルバムで聴くより感情が入ってて、4オクターブとか5オクターブとか言われる驚異の歌唱力を披露する。踊りながら、ここまで生で歌えるなんてね。また彼を支えるギタリストと女性ベーシストも、ただプレイしているだけじゃなくて、ステージを盛り上げようと頑張ってくれる。踊りまくった後は、ピアノの前に座って弾き語りをする。P!ATDのライヴは、大まかに言うと、この繰り返しだ。そして、これはP!ATDのショーと言うより、ブレンドン・ユーリー・オン・ステージと言っていいかも。そんなブレンドンに、ほぼ満員のオーディエンスは、とてもよく応えていたと思う。元々ヒット曲が多いアーティストなだけに、シンガロングも多かった。ブレンドンはそんなショーを“僕のコンサートは、急上昇したと思うと、急降下するんだ”と形容していた。
そんなライヴがいよいよ終わりに近づき、ブレンドンが“これは名曲だと思うから歌うんだ”とアナウンスして始めたのが、「ボヘミアン・ラプソディ」だ。これは洋楽ファンなら誰でも知っているクイーンの代表曲だけど、同時に幅広い音域をもつブレンドンの歌唱力を他のどの曲より、ブレンドン自身の曲さえよりも、証明する一曲だと思う。当のフレディ・マーキュリー(クイーン、vo.)でさえライヴでは、キーを下げて歌っていたがブレンドンは思いっ切り声を張り上げる。始めはピアノを弾きながら歌っていた彼は、変調して盛り上がるパートになると、ピアノの上にすっくと立ち、手を振り上げながらシャウトする。ゼップ東京は興奮のるつぼである。
あぁ、これをロンドンでも観たかったな、と思う。イギリス人にとっては、クイーンも「ボヘミアン・ラプソディ」も、特別だから。もしかしたら、これ以上の熱が出るかも…。いや、充分だ。全27曲、100分超え。ブレンドンは本当に全力を出し切ってくれたと思う。何度でも体験したいくらい、凄いコンサートだった。■

パニック!アット・ザ・ディスコ来日公演スケジュール

東京公演: 2018/10/23 (火) 新木場 STUDIO COAST
大阪公演: 2018/10/25 (木) Zepp Osaka Bayside

詳しい情報はコチラ

パニック!アット・ザ・ディスコ最新アルバム
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¥1,980+税/WPCR-18043